猫ちゃんの栄養を補うならドライフードでも十分ですが、猫ちゃんの飽きがきてしまっている、あるいは新鮮で品質の良いフードを手作りしたいと考えている飼い主さんも少なくないでしょう。
そこで今回は栄養バランスを考えた手作りキャットフードの作り方と、手作りする際のポイントや注意点について紹介していきたいと思います。
キャットフード教授
手作りキャットフードを作るための5つのポイント
手作りキャットフードのレシピを紹介する前に、どのようなポイントに気をつけて作ればいいのかについて触れていきます。
- 動物性タンパク質をメインに配合する
- 肉・魚だけでなく野菜・海藻・果物も入れる
- 動物性・植物性の脂質をバランスよく含有させる
- 青魚をメインにするのはNG
- 穀物類は含有させなくても良い
この4つのポイントを抑えることができれば、猫ちゃんの栄養を補いながら好みや食事量に合わせてキャットフードを作ることができます。
手作りのメリットはなんといっても幅広くアレンジを加えられることなので、基本的なことを把握してあなたの猫ちゃんに合ったキャットフードを作っていきましょう。
では、その前に少しだけ手作りの際のポイントについて触れていきます。
動物性タンパク質をメインに配合する
よく雑食性だと勘違いされがちですが、猫ちゃんはほぼ肉食動物なのでメインにする食材は動物性タンパク質が豊富な肉や魚を中心にしましょう。
そのため、毎食肉や魚を混ぜ合わせた手作りキャットフードになるように考えていかなくてはなりません。
特に肉・魚というのは鮮度が落ちやすいため、できる限り早めに使えるように1度に与える量を計算して購入するようにしてください。
また、間違って鮮度が落ちたものを出してしまうと、猫ちゃんはグルメ家で鼻も効くため全く手をつけてくれないこともあります。
新鮮で品質の高い動物性タンパク質を配合するようにしましょう。
肉・魚だけでなく野菜・海藻・果物も入れる
肉・魚だけでキャットフードを作るのではなく、野菜・海藻・果物もバランスよく入れるようにしましょう。
肉や魚では補えないミネラルやビタミンもありますし、少しの食感の変化も猫ちゃんにとっては食いつきの良さにつながります。
大体肉や魚の動物性タンパク質が60~70%、野菜・海藻・果物を20~30%の配合率で含有させるようにしましょう。
動物性・植物性の脂質をバランスよく含有させる
脂質というのは人間にとっては良くない成分だと思ってしまいますが、猫ちゃんにとっては重要です。
脂肪酸の中でもオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は猫ちゃんの毛艶・毛並みの維持にも作用してくれます。
また、脂質は満腹感を与えますので食べ過ぎ防止にも役にたちます。
キャットフードに含まれる理想的な脂質含有率も20%以上となっているので、動物性油脂・植物性油脂をバランスよく含有させるように心がけてみてください。
青魚をメインにするのはNG
オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸もそうですが不飽和脂肪酸というのは青魚に多く含まれています。
しかし、だからといって青魚をメインに与えてしまうと黄色脂肪症(イエローファット)と呼ばれる病気のリスクを高めてしまうので注意が必要です。
猫ちゃんはマグロやかつおなどの青魚を好んで食べるイメージが強いですが、なるべくメインにはせず、消化に良い白身魚をメインとしたキャットフードを作るほうが好ましいでしょう。
キャットフード教授
穀物類は含有させなくても良い
猫ちゃんにとって小麦・米・大豆・とうもろこしといった穀物類は消化を苦手としており、アレルギーの原因にもなるため、安全性を考えると含有させる必要は無いと言えるでしょう。
ただし、手持ちの肉や魚などが足りないときにどうしても含有させてお腹を満たしてあげたいということであれば、必ず加熱してからキャットフードに混ぜるようにしましょう。
穀物類に含まれる炭水化物はさつまいもやじゃがいもといったような野菜でも十分に補給することが可能です。
そのため、穀物類に含まれる栄養を別の食材で補った方が猫ちゃんの体調を損ねないで済むでしょう。
簡単で栄養満点!手作りキャットフードレシピ3選!
キャットフードといえど手の込んだものを作っていると、継続するのが難しくなって断念してしまうということも多いです。
そのため、簡単にできてかつ栄養が豊富に含まれている手作りキャットフードのレシピをいくつか紹介していきたいと思います。
鶏肉と野菜の合わせ煮
-
- 材料:
-
- 鶏肉(ささみがおすすめだがどの部分でもOK!)を全体の6~7割
-
- じゃがいも、かぼちゃ、にんじん、キャベツ、昆布、りんごなど好きな野菜や海藻、果物を全体の3~4割
作り方:
材料を猫ちゃんの一口大に合わせてカットしておき、鍋で具材を煮込む。
具材が柔らかくなったら火を止めて人肌程度に冷ますと完成。
白身魚と野菜和え
-
- 材料:
-
- サーモン・ニシン・マスなどの白身魚を全体の6~7割
-
- 小松菜、にんじん、ブロッコリーなどの野菜(猫ちゃんに合わせて海藻や果物を入れてもOK!)を全体の3~4割
作り方:
小松菜、にんじん、ブロッコリーなどの野菜を細かくみじん切りにしておく。
白身魚を油の引いたフライパンで両面をサッと焼いて取り出す。
その後みじん切りにした野菜を炒める
白身魚をみじん切りにしたら野菜を混ぜ合わせて冷ましたら完成。
鶏肉と野菜のペースト
-
- 材料:
-
- 鶏肉(ささみやレバーがおすすめ) 全体の6~7割
-
- にんじん、かぼちゃ、きゃべつ、ほうれん草、ひじき、りんご(野菜や果物、海藻は栄養を考えて好きなものを選ぶ) 全体の3~4割
作り方:
材料をすべて柔らかくなるまで煮込み、冷ました後にミキサーにかけてペースト状にする(猫ちゃんの好みによって細かさを変えるのも良い)。
とろみをつけることによって猫ちゃんの食いつきがよくなるため、くず粉や片栗粉、タピオカ粉をいれてもう一度煮込みとろみがついたら冷まして完成
材料は新鮮な食材を使ってアレンジしていこう!
手作りのキャットフードの特徴はアレンジができるという点なので、スーパーで安くなっている食材や旬の食材をうまく使っていくことでより栄養補給にも繋がりますし節約にもつながります。
また、鮮度が何より大切なので、消費期限や賞味期限が切れてしまっている食材は使わないようにしてください。
先ほど紹介したレシピはアレンジ可能で、メインの食材を鶏肉ではなく白身魚にしてもいいですし、猫ちゃんが食べてくれる、アレルギーが無いということであれば牛肉や豚肉、羊肉などにしてもいいでしょう。
手作りキャットフードのメリットとデメリット
手作りキャットフードを作っていくうえで、猫ちゃんにとってどのようなメリットがあるのか、飼い主であるあなたにどのようなデメリットがあるのかという点を考えていくことも大切です。
では、次に手作りキャットフードのメリット・デメリットについてみていきましょう。
手作りキャットフードのメリット
手作りのキャットフードというのはメリットが多く、食事にもメリハリがつくので猫ちゃんによってはかなり好みます。
では、その点も踏まえて手作りキャットフードのメリットについて以下にまとめてみました。
- 水分補給も一緒にまかなえる
- 猫ちゃんの好みにアレンジしやすい
- 人工添加物の心配が無い
- 栄養を効率よく補給できる
- 料理を作るという楽しみがある
猫ちゃんの栄養面を考えると一般的にはウェットタイプよりもドライタイプのキャットフードを与えるのが良いとされています。
しかし、ドライタイプのキャットフードは水分を含まないので、適度に水分補給をさせなくてはならないという点はデメリットといえるでしょう。
その点手作りのキャットフードは栄養面も考慮できますし、水分を含ませることができるのでかなり有能な食事を猫ちゃんにさせることができます。
また、市販されているキャットフードには人工添加物が含有されていることもありますが、手作りということであれば保存料や着色料など使う必要もないため安全性においても信頼できます。
それ以外にも猫ちゃんが喜んで食べてくれる姿を見ていると、料理を作るのが楽しみになってきますので、どんどん自分でレシピを考えて猫ちゃんと一緒に食事を楽しむこともできるようになるでしょう。
手作りキャットフードのデメリット
手作りのキャットフードというのはメリットがたくさんありますがデメリットもあるため把握しておかなくてはなりません。
では、どういった点がデメリットになるのでしょうか。
- 鮮度が大切なので劣化したものは与えてはいけない
- 猫ちゃんが食べてくれない・食べてくれるようになるまで時間がかかる
- 忙しい人には向いていない
考えればわかることではありますが、生の食材を調理してキャットフードにするため品質劣化というのは一般的なキャットフードよりも非常に早いです。
そのため、鮮度が落ちた食材を使って調理をしても猫ちゃんが食べてくれないということが起こります。
また、猫ちゃんというのは子猫に食べたもの以外は口にしないというほど神経質な部分も併せ持っているので、手作りのキャットフードを与えようとしても最初は思ったように食べてくれないことがほとんどでしょう。
最初は従来のキャットフードに徐々に混ぜて与えていき、手作りのキャットフードに移行していくのがおすすめです。
また、手作りのキャットフードは調理するために時間がかかってしまうため、忙しいという人にとっては難しいということも覚えておきましょう。
キャットフード教授
手作りキャットフードを作る際の注意点
手作りキャットフードを作る際にはいくつかの注意点についても把握しておくことで、より猫ちゃんに合ったキャットフードを作ることができるようになります。
- 猫の好みによって形状・柔らかさを変える
- いきなり手作りのキャットフードを与えるのではなく徐々に切り替える
- 猫ちゃんに与えていけない食材を把握しておく
キャットフードを変えたことがある人にとっては慣れていることかもしれませんが、最後の猫ちゃんに与えてはいけない食材は手作りのキャットフードを作る上でも普段の食事をしている際にも猫ちゃんが口にしないよう注意をしなくてはなりません。
では、それぞれ解説をしていきましょう。
猫の好みによって形状・柔らかさを変える
猫ちゃんは一匹一匹それぞれ好みというのが違うため、手作りをする際には猫ちゃんの好みを把握しておかなくてはいけません。
ゴロゴロした大きさの餌が好きな猫ちゃんもいれば、ペースト状の餌の方が好きな猫ちゃんもいます。
また、柔らかさも固めが好きな猫ちゃん、ドロっとするまで煮込んだ方が好きな猫ちゃんなど様々です。
どれが好きなのかはまず猫ちゃんに与えてみなければわからないため、最初のうちは猫ちゃんの好みを探すために色々調理法を試して与えてみると良いでしょう。
キャットフード教授
いきなり手作りのキャットフードを与えるのではなく徐々に切り替える
手作りのキャットフードを与えるときはすぐに切り替えるのではなく徐々に切り替えていくという認識で与える必要があります。
というのも猫ちゃんはいきなり出された餌は警戒して食べないという習性を持っているため、せっかく手作りをしたとしても全く手をつけないということもあるのです。
そのため、手作りのキャットフードに慣れてもらうためにはまずは普段与えているキャットフードの中に混ぜて与えるようにしましょう。
手作りのキャットフードを徐々に食べてくれるようになったらすべて手作りのものに切り替えていく流れになります。
また、子猫の時期から手作りのキャットフードを慣れさせておくと食いつきやすくなりますので、子猫から飼い始めておりいずれ手作りのキャットフードを与えたいと考えているのであれば小さいうちから慣れさせておくと良いでしょう。
猫ちゃんに与えていけない食材を把握しておく
手作りのキャットフードを作るのは良いですが、猫ちゃんが食べてはいけない食材をいれてしまっては大惨事になってしまいます。
特に気をつけてほしいのがネギ類です。
たまねぎ、にんにく、にら、長ネギといったネギ類に含まれるアリルプロピルジスフィドは溶血性貧血を引き起こしてしまい最悪死に至ることもあります。
アリルプロピルジスフィドは加熱してもなくなることはありませんので、絶対にネギ類は入れないように調理してください。
- イカ・タコ
- アワビ
- 生卵(加熱すればOK)
- 鶏や魚の骨
- チョコレート
イカやタコには猫ちゃんの必須栄養素であるタウリンが多く含まれてはいますが、チアミナーゼと呼ばれる酵素が含まれているためビタミンB1欠乏症になってしまう可能性があります。
アワビにはピロフェオホルバイドaと呼ばれる成分が猫ちゃんに光線過敏症を引き起こしてしまうため注意が必要です。
生卵は加熱すれば大丈夫ですが、生の場合にビオチンを分解するアビジンと呼ばれる成分が含まれているため、皮膚炎や結膜炎など猫ちゃんの健康を損ねてしまう可能性があるでしょう。
鶏や魚の骨は猫ちゃんの細い食道や消化器官を詰まらせて窒息させてしまうことや、喉に刺さってしまうなんてことも起こりえます。
猫ちゃんが骨が刺さっているなんてことは口に出せないため、より安全を考えるのであればしっかり骨は取り除いて与えてください。
また、食材として使用することはほぼありませんが、チョコレートも猫ちゃんにとってはきをつけるべき食材です。
チョコレートに含まれるテオブロミンは下痢や吐き気、嘔吐、痙攣といった症状を引き起こします。
しっかりと猫ちゃんに影響のない食材を選び、安全で高品質なもので手作りキャットフードを作ってあげてください。